愛しき待ち人

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「ジャック、そろそろ寝なさい」   気配さえ感じさせずにジャックの父がやってきた。 子が子なら親も親だ。 瓜二つ。 違うのは背格好と声だけ。   「おや、ジャックもその人形が気に入ったかい?」 「うん!!!!」 「そうか、じゃぁこの子はジャックにあげよう」 「えっ、いいの?」 「ちょっと、その人形は.....」 「遊び相手にはなるだろう、しばらくの間だけだよ」   ジャックの両親は、私が何か知っている。 それを承知で私をこの家に招いた。 こんな“呪われた人形”を.....。   「ねぇ、この人形さんには名前はないの?」 「買った時には何もなかったが.....」 「じゃぁ、僕が決める!!!!」   歯車が回りだした。 私に名前を付けたことで、まだきしきしと音を立てながら、止まらない歯車が、こんな小さな少年の手によって....。   「お人形さんの名前は.....」   誰にも見えない歯車が回りだす。   「ジュリア!!!!」   きしきしと誰にも聞こえない音を立てて。      
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