プロローグ

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 単純かつ短時間しか持続しない速度強化の咒術であるが、それでも秒速三百メートル強を記録する。  間に合うッッ。  この満身創痍、いや、死に体の状態であっても咒術はタイム・ラグも不発する事も無く、完璧な形で発動。  一瞬で今ある景色が後ろに吹き飛んでいく。  本来なら、視覚強化の咒術や身体保護の咒術を併用してから使用する咒術だ。  限界を超えた身体に限界を超える咒術を使用。  身体の血液が急激な加速により本来なら有り得ない片寄り方をする。  その結果、ブラック・アウト。  視界が黒く染まる。脳の血液が不足した事が原因だ。  それでも、辛うじて視界の端に映った一番大きな瓦礫を半壊した咒術杖(じゅじゅつじょう)で受ける。
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