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面白い依頼が舞い込んできたのは、夏休みの少し前あたりだ。
三日ぶりに学校に来ていた俺に、やたらとおどおどした様子のヤツが話しかけてきたのがはじまりだった。
「頼みたいこと?」
「あ、俺じゃなくて俺の知り合いなんですけど…」
教室の窓側の一番後ろの席に座っていた俺に話しかけてきたのは、なんとも陰気な面をした、いかにも気の弱そうな奴だった。
誰だっけ?
クラスメイトだった気はするけど、名前が出てこない。
覚える気もないけど。
しかしコイツ…よせばいいのに、黒縁の厚底メガネがよりいっそう見た目に暗さをコーディネートしている。
鏡みろよ、鏡。
お前寂れた案山子みたいだぜ?
「笠松さんの噂を聞いたみたいで、どうしても話がしたいと…」
「…へぇ、誰」
「ここの生徒じゃないんです…放課後に会って欲しいそうで…」
学校で俺に話しかるヤツがいるなんて珍しいと思ったが、依頼の話なら別だ。
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