第3章 もう、恋なんてしない

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* 私は現在、高校2年生。夏には17歳になる。髪は伸ばすつもりはなかったけれど、気がついたら腰のあたりまで伸びてしまった。 そういえば。 最近、通学に使うバス停に、いつも同じ背の高いオジサンがいる。 青年…と呼ぶのが正しいかもしれないけれど、20代以上は高校生の私から見れば、十分おじさんだ。髪は短くて、少しエラがあって、いつもガムを噛んで、つまらなそうな青年マンガの雑誌を読んでいる。何故その人を覚えているかと言うと、私は彼に二度、接触したことがある。 一度目は、バスを降りた時に落とした財布を拾い、追い掛けてきてくれた。 二度目は、美夜が自転車に乗って帰ってきた時、転んで自転車のハンドルがいうことをきかなくて困っていた時、通り掛かって家まで送ってくれたという。 この人は、何者? だけど、なんだか不思議な人だった。 ふしぎと、嫌な気持ちにはならなかった。私のこういうもころが、だめなのかもしれない。
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