第3章 もう、恋なんてしない

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教室にいると、女子たちがヒソヒソと私をチラ見しながら話している。私のことか。今朝の件が、教室に到着する前にすでにSNSで拡散されているのか…。 「なんであの子なの?」 「話してるとこ見たこともない」 私は鞄を机の脇に掛けてスクッと立ち上がると、みんなはピタッと話し声を止める。私はあえて、睨みも笑いもせずに教室を出ていくと、また教室の中はにぎやいでいた。 「やだなぁ…」 と呟いて、教室から少し離れた資料室の近くまで歩いていくと、ふと廊下の窓から中庭を見下ろしてみた。中庭で女子が二人くらいキョロキョロしている。誰かを探しているみたいだ。私も何だか気になって、辺りを見渡していると、 「萌梨ちゃん…!」 と小さく声が聞こえて、私は振り向いて見回した。資料室のドアからひょっこりと佃煮男が顔を出した。 「こっちこっち!早く」 「…なんで」 と私が言うと、佃煮男はかがんだまま駆け出して私の腕を掴むと、資料室に連れていってすぐにドアを閉めた。 「ねぇ、悪いけど、私、あなたと関わりたくないのよ」
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