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「B棟…?あの建物ってB棟っていうんだ」
「そうよ。なんでも特別施設らしくて、4年生しか利用できないらしいんだけど」
昼休み、私は渡り廊下の向こうの建物について、それとなくサヤちゃんに聞いてみた。
サヤちゃんていうのはクラスメイトで隣の席の女の子。
今日はサヤちゃんに誘われて、陽当たりのいい中庭でお弁当を広げている。
「…でもね花ちゃん、B棟って4年生全員が利用できるわけじゃないらしいの」
「そうなの?」
「うん。選ばれた生徒だけっていう決まりとかで…なんていったっけ…あの~…」
『【特待生】』
「そうそう!【特待生】…って…わ!」
私とサヤちゃんが座っていたベンチの後ろから急に声がして、私達2人は驚いて後ろを振り返った。
「あ…!」
振り返って見た先に居たのは、あの日私がB棟で見たハルと呼ばれていた生徒!
「園村先輩!」
え!?園村先輩?
「サヤちゃん知り合い…?」
「え!?あぁ、違うの、園村先輩はうちの学園の生徒会長なのよ」
「生徒会長?」
私が突然のことに動転してサヤちゃんと園村先輩を交互に見ていると、園村先輩とバチッと目が合ってしまった。
わわわっ…
すっごい優しい顔で微笑まれちゃったよ
恥ずかしい…
「驚かせてごめんね。通り掛かったら話が聞こえちゃって」
「いいんです全然!」
サヤちゃんはベンチから立ち上がると、なんだか嬉しそうに満面の笑みを浮かべて園村先輩と話をしている。
「そういえば園村先輩も【特待生】なんですよね!?」
「うん、そうだよ。でもどうして【特待生】の話なんて?」
園村先輩は穏やかな表情のまま少し首を傾げた。
「あ、この子最近編入してきたばかりなんです。それで、B棟についてちょっと話していたので」
サヤちゃんがそう言って私を指す。
「あぁ、そういうことか」
園村先輩は私の方を見てまたもニッコリと微笑んだ。
なんかこの人……
王子様みたい……
って!私ってば何考えてんのもぅっ
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