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3年生に女子生徒が編入してくる。 その情報は生徒会長である僕の耳にとても自然に届いた。 この時期に、なんて不思議な縁なのだろう。 その子は選ばれるために来たのだ。 【バラ】はきっと彼女を受け入れる。 僕はその子がB棟に関心を抱くだろうと予想し、あらかじめ鉄の扉の鍵を壊しておいた。 僕があの時、棚の陰に隠れていたことを彼女は知らない。 一か八かの賭けでもあったから、彼女が扉の前に現れた時には本当に嬉しかった。 そして僕はますます確信を抱いた。 彼女はやはり【バラ】によって選ばれた【S】なのだと。 それでも、彼女がうまい具合に【バラ】の元に辿り着けるか、そして本当に【バラ】に受け入れられるかまだ僕には不安があった。 でも間違いなく【バラ】は選んだ。 ここまで僕の予想通りにことが進むなんて…。 ただ1つ誤算だったのが、シロが予想以上に早くあの部屋に辿り着いたことだった。 あと数分僕の方が早ければ、彼女から【バラ】を預かることもできたのに…。 【S】にさえ選ばれてしまえば、ペンダントは彼女から離れても問題はない。 【バラ】さえ手に入れてしまえればよかったのに…。 だから僕はあえて彼女にB棟について教えてあげた。 彼女が再びその場所に近付くように。 そして僕は<ヘヴン>でその時を待った。 渡り廊下を渡る君を見付けて、はやる気持ちを抑えて階段を降りた。 でも… またしても誤算だったよ。 まさか君が <アース>に降りてしまうなんて。
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