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―――リン―。
遠くで透き通った鈴の音が鳴る。
目を開ければそこは白い空間の中。
ただ、鈴の音が鳴り響くだけの世界。
妙に落ち着くその世界は、まるで母親の腕の中に居る様だった。
小さく、小刻みに鳴る鈴の音は、まるで優しい子守唄の様だった…。
心地良い感情に包まれた俺は再び目を閉じる。
すると鈴の音は止み、代わりに鳥の囀りが耳に届いた。
帰ってきたのだ。
この腐った世界に。
この狂った世の中に。
夢と呼ばれる現実(リアル)から。
俺はもう一度現実に戻ろうと必死に目を閉じるが…すぐに引き止められた。
騒々しく鳴る普遍に満ち溢れたチャイム。
続いて当直だった"先生"の低い声が起床時間を告げる。
いつも、何時も、いつでも…これが悪夢の始まりだった。
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