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「ねー、今日の空青いー!」
「おー、本当だ。あっ、入道雲!」
私はクスクスと笑う。
「京ちゃんは入道雲が好きだねぇ。」
「おう!あのもこもこ感がいい!!でっかくて白くて…良くね?」
「京ちゃんがいいと思うならいいと思うー。」
「お前なー、もう少し入道雲のこと分かろうとしろよー。」
笑いながら、文句言う京ちゃん。
「入道雲いいよねぇ!」って私が言ったら、「お前に入道雲の良さがわかんのかよ?」って突っ込まれる。
このやりとりが私は好き。
というか、京ちゃんが好き!
「京ちゃん!これからどこ行こっか?」
くるっと振り返る。
そこには誰もいない。
360度回転して辺りを見回す。
「あはっ……京ちゃん…いないや。」
目に涙が溢れてくる。
徐々に、しゃくりを上げながら涙の量が増えてくる。
「京ちゃん……会いたいよ…!」
京ちゃんは最初からここにいなかった。
全て幻覚。
全て幻聴。
1ヶ月前。
京ちゃんは死んだ。
交通事故。
大きなトラックが京ちゃんを跳ね飛ばして、即死だったんだって。
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