堕天使系-ファンタジー-

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「だ……れ…?」 やっと言えた言葉。 驚きと恐怖と緊張で、思うように声が出ない。 彼は、口の端を少しだけ吊り上げた。 「さあ……誰だと思う?」 逆に問われてしまって慌てる少女。 人間ではないことはわかる。 自分しかいなかったこの部屋は、窓を閉めてしまえば完全な密室で。 開いていた窓は自分がずっと見ていたのだから。 それに………人間とは何かが違う。 ………何となくだけれど。 オーラというか、雰囲気というか。 では、彼は何者? 幽霊? 吸血鬼? 悪魔? まさかとは思うけど…天使…? 下をうつ向いて一生懸命考えている少女を見て、彼はフッと笑った。 「墮天使。」 「………え…??」 急に言葉を呟くものだから、今考えていたものを遮断した。 だが、言葉を聞き逃してしまい、反射的に聞き返していた。 「墮天使だっつってんの。」 彼はスタスタと歩いて、少女と1メートルほどの距離しかない場所まで来ていた。 「なぁ、狂わせて欲しいんだろ?俺がお前を狂わせてやろうか。」 「………どうやって?」 少女はゴクッと生唾を飲み込む。 彼はニヤッと笑った。 「こうやって。」 グイッと手首を引かれたと思うと、ベッドにそのまま倒された。 「官能的に…ね。」 妖艶に彼は笑う。 窓から差し込む月の光が彼を一層魅力的にする。 「それとも全てを狂わせて欲しいか?…精神を狂わせてしまえば、全てが変わるよ。」 ククッと笑う彼。 ゾクッと鳥肌が立つ。 この人なら、簡単にできてしまいそうだ。 怖い…。 「……や…だ…。」 小さく、か細い声。 彼は途端無表情になる。 そのまま彼は少女の服を引き剥がすように、脱がせる。 胸を揉み、晒け出された肌に唇を滑らす。 が、彼は突然行為を止めた。 「何で抵抗しないんだよ。」 何故か苛立っているようだ。 だって、と少女は言葉を続ける。 「止めてと言っても止めてくれないでしょう?」
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