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何故か冷静な自分がいる。
自分でも驚くほどに。
普段の自分なら、「いやだぁ!!」って言いながら、暴れて叫ぶくらいのことをしそうなのだけれど。
何故か……本当に何故だろうか。
ただ、冷静だった。
彼は、驚いたように目を開くが、すぐにククッと笑い出す。
「お前………気に入ったよ。」
そう耳元で囁かれた。
――――――
――――
ゆっくりと目を開く。
いつの間に自分は目を閉じていたのだろうと疑問に思う。
それに…
私、ベッドに寝ていたんじゃ……?
そう思うが、自分は窓の前の椅子に座っていた。
腕を窓の縁に置いて、その上に頭を乗っけて眠っていたらしい。
「さっきのは………夢……??」
とてもリアルに感じられたのに、と不思議そうに頭をかしげた。
その時。
何かが視界に映る。
何だろうと思って、椅子から立ち上がり、床に落ちていたものを拾った。
「白と黒の……羽根……??」
そこには、一枚の羽根が落ちていた。
―――――…墮天使?
思い出したのは、彼が「墮天使。」と言った言葉。
………やはり、さっきのは夢ではなかった。
それならば、彼はどこへ行ってしまったのだろう。
そう考えながら、羽根を胸に押し付け、月を見上げた――――――――。
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