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京ちゃんが死んだ日もこんな風に天気のいい日だった。
「うぅっ…ひくっ……京…ちゃんっ…!京ちゃん!!」
行かないでよ。
私を置いて行かないで…!!
ふっ、と生暖かい風が頬を撫でる。
涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げる。
『泣くなよ。』
慌てて周りを見回すが、誰もいない。
『お前が泣いてたら、俺が成仏できねーだろ?』
「京ちゃん?京ちゃんなの!?ねえっ!!」
私は空に向かって叫んだ。
空から降ってくる声。
この声は京ちゃんの声だ。
私が京ちゃんの声を聞き間違えるはずがない。
『俺はお前の胸の中で生き続けるから。そんなに悲しむな。』
「何でよっ…!何で死んじゃったの!?私を置いて行かないでよ!」
『ごめんな…。』
京ちゃんが、寂しそうに笑った気がした。
『早くいい男見つけて幸せになれよ!』
「やだ!私には京ちゃんだけだもん!!京ちゃんがいないと寂しいよっ…帰ってきてよ!」
その時、ぶわあぁーっと暖かい風が思いきり私の体を吹き抜けた。
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