第二章

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結局はそんな落ちか。最後まで蔵本を煙たがったあんたは >蔵元が死んでからは、演説内容、自分の小道具か・・・ なぁ蔵本お前、何で死んじまったんだ。良い事なんて一つも無いぜ。ガタン、俺が耳をふさいだときだった。俺の前に座っていた宮月が立ち上がった。 「宮月、どうかしたか?」 >流石、教師の鑑。こんな時も演技ですか。前に蔵本が授業中、立ち上がった時は、すかさず叫んだのにな。 >「早退させてもらいます。」 >宮月の声は震えていた。一年前のあの日のように。 「どうした、体調悪いのか?」 そう、聞き返す山田に俺も切れた。 「先生、ずいぶん対応が違う気がするんですけど」 「松原、お前には聞いてない。」 間髪いれずに山田は答えた。 「俺も早退させてもらいます。」 俺は宮月に同意した。そして、教師の鑑こと、山田先生の教室から出て行った。ドアを閉めると山田は何も無かったかのように、演説を始めた。自分の点稼ぎの、意地汚い演説を・・・ 昔から早退はよくしていたが授業放棄は初めてだった。 授業中の廊下はなんとなく不気味だった。生徒が黒板に答えを書く音や先生の説明、生徒の回答。当てもなくさまよっていると本当なら教室にいなくてはいけないという考えが頭の中を駆け巡った。下りてきた階段を上って屋上に行くことにした。そこは、よく蔵本が使っていた喫煙室だ。といっても、フェンスが張ってあるので、 部屋と言うのはおかしい。4階まで行くと立ち入り禁止の札が目に入る。蔵本はどうやって入っていたのだろうか?窓などは無かった。5分ほど考えてからドアノブに手をかける。寂れた音と共にドアは開いてくれた。鍵は掛かっていないようだ。それとも、蔵本が壊したのだろうか?屋上には、何も無くそこは景色に囲まれていた 。ちょうど自分の目の前には山があった。
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