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「ていうか、コイツ最初からサボル気で来たんだろ。じゃ無きゃ、鞄に私服なんかつめないって」
>蔵本は、寝そべっていたソファーから、体を起こしながら呟いた。
>準備が整ってから俺たちは、宮月の下宿からでた。あても無く町をぶらついた。最初はゲームセンター。金が無なりパチンコ屋へ。
>「無くなったら、増やす。これ大宇宙の法則」
>これは蔵本の名言である。聞けば納得するが、実践すると後悔しか残らない。とにかく、この一言は蔵本のすべてを語りつくせる。俺はそう信じてる。たぶん、でも、いや、信じよう。一通り遊びつくして、俺たちは解散した。宮月と蔵本は下宿へ。俺はろくでもない自宅へ。
>朝、コーヒーを啜りながら俺は新聞を手に取った。といっても、テレビランの確認しかしない。だが、その日は違った。というのも、一面に自分と同じ森州高校生三年無念の死亡なんて書かれていたからだ。まぁ、どうせ、若気の至りのバイク事故。俺には関係ない。そう思っていた。実際、新聞を読んだ分けではないので、死因な んてわからないが。高校生の死因なんて、そんなもんだろう。
>
>「普通科三年一組の蔵本純介君が、昨日なくなりました。」
>頭を鈍器で殴られたような、他に言いようのない。そんな感じだった。
>幸の薄そうな校長の一言は、それほどのダメージを俺に負わせた。
>放課後、何をするでもなく下校する生徒を見ていた。
>「美女ウォッチングですか先生?」
>蔵元に言われたような気がして、後ろを振り返った。そこには、蔵本ではなく宮月がいた。クスクスと笑いながら、片手にコーヒーを持って立っていた。
>「蔵本なら、そう言ったのかもしれないな。」
>宮月は真剣な顔をしてそう言い、俺がしているように窓枠にひじを置いたその顔は、とても冷たい気がした。いつも笑ってたわけじゃないし、かといってく
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