第一章

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はならないだろう。おもむろにベッドに倒れこんだ。そこは、ふかふかでとても心地がよかった。>「気が滅入ったときは、寝るのが一番!!」 >蔵本の一言だ。今なら、納得できただろうな・・・ > >「・・・振られちまった・・・・」 >涙混じりにそう言っていたのは、蔵本だった。 >「誰に??」 >俺は真剣に聞いたのお覚えている。 >「奈々に・・・」 >蔵本は今にも泣くんじゃないか、そんな顔をしていた。蔵本を振ったのは森野奈々という子で、彼女は高2のときに蔵本が惚れていた女の子だ。気立てがよく明るくて、男子とも何気なく話していた。クラスにそういった子は彼女だけだったのでとても印象的だった。そういえば蔵元ともよく喋っていたな。今思えば蔵本も自分に怖 がらずに、話しかける彼女にだんだん惹かれていったのかも知れない。蔵本にとって本当の初恋というのは、あれが初めてだったのかもしれない。それ以前の彼は、言い寄られれば付き合う。でも、2ヶ月持ったためしがなかった。少なくても自分から言い寄ったことは一度もなかった。俺や宮月が、いや俺が知らなかっただけかも しれない。 >「ぶん殴ってやる。」 >ガタン、と音を立てて立ち上がったのは、他でもない宮月だった。
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