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向こうに生けば何かが変わる、そう信じていた無邪気な子供。描きたいのは赤。足りなかったのは白い鉛筆。さぁもう一度…
そういやあの時も今日のように雲一つない空で。だから何も見えなくて、切なすぎて涙が出たんだっけ。そんな時間が好きだった。それだけでよかったのに…。夢見たのは青、塗り潰したのは黒い涙。
ゴミだめの中からこんにちは。顔を出したのは僕自信。「あなたはどこにいきたいの?」そんなの決まってる。あの丘の向こうに答があるのだから。
紫の丘で積もっては消えた灰。それはまるで雪のようで僕はだんだん埋もれていった。もうどれが自分だかわからない。なんだか気持ちよくて目をつぶった。でも景色は何も変わらなくて、なんだそんなもんかと落胆する。
そのまま夜になり満点の星空。手が届きそう。しかし自分の手が見つからない。足もない。どこに落とした?探さなきゃ、探さなきゃ。あれがないと帰れない。……そっか、帰る場所なんてもう無いんだ。
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