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プップー
どこかで車が多いとわかる音が響き渡る。
架空世界2015年。夏。
「あっつ…。」
声を出さずにはいられない。
この湿度と熱気。
自分が溶けてしまいそうだ。
お蔭でイライラも募る。
「ったくなんで私なんかが……」
雑誌編集部に勤めて五年。
後輩もでき、慣れもあるのか新人時代より仕事が楽になった。…が今日は違う。
後輩の一人が病欠で、私も特集のために取材に行かなければならなくなった。
夏なんて大っ嫌い。
「……昔を思い出すから」
「へっ?なんか言ったっすか?」
ふと過去に戻ってた私に会社に勤めて半年の――見た目は背が高くまあまあスポーツマンって感じ、もちろん角刈り――新人が声をかけてくる。
現実に戻った私をまじまじと覗きこんでる。
……新人じゃないなら一人で取材いかせるのに。
なにより半年もしてたらもう慣れてるだろうし。
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