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「……にしても日本てじめじめしてんな~」
ザキが袖で額の汗を拭う。
確かに暑い……ほんの半日前に雪の中に居たのが嘘のようだ。思い出せないくらい昔に感じる。そういえば、腹減ってたな……
「確かに暑いな…」
「迎えまだかよ」
ザキがぶつくさ言い始める。この時間には着くからと連絡はしていたのに―――
躰が一瞬で強ばるのがわかる。
「……ザキ……」
静かにザキを呼ぶ。僕らは微動だにしていない。
外の世界と隔離されたような…違う空間が流れる。
「……動くな。」
ザキも静かに目を閉じて神経を集中させる。
それは"気配"のみで感じる。
「……"奴ら"か……」
小さいながらもよく響く声でザキが言う。
ザキが見てないとわかりつつも僕は頷いた。
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