10人が本棚に入れています
本棚に追加
気配が二人の頭上を通り過ぎてゆく。
その気配の主は……鳥だった。
大きさはカラスより少し小さいくらいだ。
鳥が目の前を飛んでいく。
その鳥はどこか一際違う雰囲気で…何か重くどこか危険で野生性を鋭く感じさせる。
「……行ったか……」
ザキが鳥を大分遠くまで見送ってからため息混じりに言う。緊張感が過ぎた感じの脱力感。"奴ら"と出会すことは稀にあるが……"奴ら"がその気がなければ……故意に闘いをふっかけたりはしない。
平和に共存出来ればそれにこしたことはないからだ。
ま、"奴隷"を引き連れていたらそうも言ってられないが…。
「……鋭い目してたな…」
ザキが力なく呟く。
僕は神経を研ぎ澄ませた分の力を補おうと深呼吸をする。
ザキの言葉に返事はしたいが今は無理だ。
「……気にあてられたのもあるな…」
そう言いながらザキは暑さの汗と違う汗を拭う。
また周りと同化出来るようになった。
最初のコメントを投稿しよう!