目次

3/33
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
比呂志が生まれたのは四月二十日、生まれたと同時に産声をあげ……? 先生Aは驚いきながら  「な、泣かない…」 その様子を見ながら看護婦が 「なんで?…どうして…?」 困惑する二人に突然隣か ら声がした… 「貸せ…」 と言う声と同時に先生Bは赤ん坊をとりあげる 「泣け…泣くんだ…せっかく、生まれたんだろ…泣けよ…」 赤ん坊に話しかけるが泣かないので、赤ん坊の背中を叩きはじめてた… 「なあ…頼むから、泣いてくれよ、泣かなかったらお前…」 それでも赤ん坊は泣くことはなかった… 先生Aは時間を気にして 「何分経った?」 その問いに答えるように看護婦が 「二分です…」 刻々と時間だけが無情に 過ぎて行く… 先生Aは無念そうな顔をしながら 「ダメなのか…」 先生Bは 涙ぐみながら 「諦めるな…まだ、時間はある…もう少し…」 そおいうとまたトントンと赤ん坊を叩く音だけが聞こえる… 何分経過したんだろう… ようやく、赤ん坊が泣き始めた 「ウ…オンギャ一 オンギャ一」 二人の先生は汗をかきながら 「た…助かった」 「よかった…」 その様子を見ながら最後の力を振り絞り冬美は… 「…………」 と軽くもらした こうして、比呂志はこの世に生を受けた…
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!