狭間

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泣きたいときには 真っ赤な夕日を見て なんだか急に君の声が聞きたくなった カラスの鳴く声が無性に悲しくて 君の笑顔が見たくなった かごめかごめと遊ぶ子供たちを見て 本当の意味を知ってると虚しくて バカだなって呆れる君に会いたくなった 気がつけば君のマンションの前 エレベーターに誰も乗ってなくて なんだか心細かった チャイムを鳴らしても君が出てこない気がして 急に怖くなった なにもせずに上り始めた月を見て かぐや姫のように 君も僕の前から消えるのかと不安になった そんな僕を笑うように鈴虫たちが鳴き始める なんでもないことなのに 君がそばにいないだけで こうも僕の世界は寂しいものになる 「何やってんの…人のうちの前で」 エレベーターからやって来た いつもどおりの君の姿が なんだか無性に嬉しくて 思わず僕は君を抱きしめていた 何故だか寂しくなる瞬間 君が見えなくなったとき 悲しくもなるけど嬉しくもなる だってそのほうが 会えたときの喜びが増えるだろ?
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