狭間

5/6
前へ
/18ページ
次へ
桜咲く季節 入学式の後窓から見つけた 体育館の裏にひっそりと隠れ控えめに咲く一本の桜の木 鮮やかな若葉をるける他の木の中でヒラヒラと舞う白い花びら 何となく気になってそこへ行った 小さくて、たった一本だけでも必死に咲いてる気がした 髪についた一枚の花びらを手にとって なんだかほっとする俺が居た 中の良い友達と別れたった一人で 進学校の私立へとやって来た俺の不安を少しだけ減らしてくれた 自分だって一人で頑張って咲いてるんだ だからお前も一人で頑張ってみろ そういわれた気がした でも、桜は一人じゃないんだ 種類は違えど同じ木が周りにあって 俺も、一人じゃないんだ 周りには友達になるかもしれないたくさんの人がいる 「あれ?先客が居たんだ。ここ見つけたのあたしだけだと思ったのに」 声がして振り向くと君が居た 桜色の雨が降る中でにっこりと笑った君 「きみ、たしか同じクラスだよね。よろしく。でも、なんで一人?」 「俺の中学から来たの俺だけだから連れがいないんだ」 「なるほど、あたしと一緒か。じゃあ、友達になろっか?」 「えっと…、うん。べつにいいけど…」 俺の心に宿った淡い思い それはいつか恋心へと変わって行く 「ねぇ、どうかしたの?」 「いや、お前と初めて会ったときを思い出してた」 桜色の雨が降ると思い出す 体育館の裏でにっこりと笑った君を
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加