能力

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『ママ、何処行くの?』 『いいところよ』 その日。 母親は珍しく優しかった。 俺は昔の優しい母親に戻ったのだと思ってすごく嬉しかった。 二人で遊園地に行ったりファミレスに行ったり 移動中、手を繋いでくれて 幸せだった。 帰り道 最後に母親は行きたい場所があると言った。 いいところだと…… 俺は何も疑いもせずについていった。 『ここは?』 着いたのは大きな家だった。 庭では数人の子供が遊んでいる。 『今日から貴方はここで過ごすの』 『??』 出てきたのは赤ちゃんを背負ったおじさん。 『この子をよろしくお願いします』 俺は 『じゃあね、敦哉』 『ママ!!?』 捨てられたのだ……… 『ママ!!待ってよママ!!』 もしかしたら 俺にとっては幸せな場所だったのかもしれない。 母親に暴力を受ける事もなく順調に育って行く施設…… でも 例え暴力を受けても 嫌われても 一緒に 居たかった……… 両親と 優しい兄と 離れたくなかった…… 俺にとって この施設の方が 地獄だったのだ…… *
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