最低会費5000円=カーボン矢1本

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「わざと外すぐらいの技量はあるでしょ、美紗ちゃん」 「何それ」 「ちょっと押し手を緩めれば」 「……こらこら」  参ったなと言う顔で美紗が小さく怒る。 「癖になっちゃうでしょ」 「そんな1本しか撃たないのに」 「その1本で射形が変わっちゃったらどうするの」  真剣な顔で美紗は言った。アーチェリーは射形が一番大事だ。同じ射形で矢を射たなければならない。彼女は一時たりも射形を崩してはいけないと思い知っている。 「美紗ちゃんなら大丈夫」 「私の押し手はデリケートなの」 「じゃあエイムオフで」 「……それならいいかも」 「……えっ?」  意外な反応に紀久美は面食らった。絶対決めると公言していた美紗が、違う形ではあれど肯定したのだから。 「観客にも気づかれないし。射形は崩れないし……その方が、ショックも少ないだろうし」  そう言ったきり、美紗は黙り込んでしまった。
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