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美紗自身、表面上での前向きさとは裏腹に、心中、自分がどれだけ良いパフォーマンスを見せても、去年の二の舞になりかねないのではと思っていた。
アーチェリーは結構地味なスポーツで、前述通りお金もかかる。果たして、それを覚悟して来てくれる人がいるのか。
それでもまだ頑張ろうと言う気持ちがあったのは、アーチェリーを広めたい、こんなにも楽しいスポーツをもっとたくさんの人に楽しんで欲しい、と言う気持ちが心の片隅にあったからだ。――でももし、今年も部員が入らなかったら。
そんなことは考えたくなかったが、この現状が続いたらどうなるんだろうな、と冷静に考える能力も彼女には残っていた。わかっている。廃部だ。
そうはさせない。彼女はさせたくなかった。させないためにはどうすればいい? 部員を集めればいい。じゃあどうすればいい? 解決策はひとつだけ。
そうしないと、芽がここで止まってしまうから。ここからアーチェリーを広げる手助けになれないから。
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