最低会費5000円=カーボン矢1本

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 美紗の思いを汲み取った紀久美が笑みを浮かべる。 「やっぱちゃんと決めないとダメだよ。美紗ちゃんの晴れ姿、ビデオで撮るんだから」 「やめてよ。そんなの恥ずかしいから」  まんざらでもない様子で美紗が手を振って拒否する。紀久美は笑みを絶やさないままこうつぶやく。 「あーあ、私もやりたかったなあ」  母子家庭で育った紀久美の家庭は財政状況が火の車で、アーチェリーなどと言う余裕はなかった。  しかし紀久美は、ちょくちょくと同好会に顔を出している。その成果、美紗の射形の癖や特徴をすっかりと掴んだのだ。顧問の高槻もその功績を考慮して、部員ではないが美紗のマネージャーとして認めているのだ。 「“生徒会副会長”の私とアーチェリー同好会会長の美紗ちゃんが一緒に出れば、絶対会場沸くって」 「妙に副会長を誇張してない?」 「美紗ちゃんも結構人気あるんだよ」 「スルー? ……てか何の話よ」 「うらやましいもん。美紗ちゃんを見てて」    人の話を聞きなさいって、と美紗は心の中で文句を言った。
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