風船はピンポン玉サイズ

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「……って、何で風船があんなに小さいのよ」  体育館の外に用意された畳を見るなり、思わず美紗から文句が零れた。  ステージ脇で紀久美は何も悪くないと言う風に生徒会役員と打ち合わせをしている。  美紗はそんな彼女の襟首を掴んで、 「紀久美ちょっと借ります」  有無を言わせずに、用意された畳のあるところに連れて行った。 「……小さすぎない? 確かに風船貼り任せるとは言ったけどさ」  開口一番、美紗は不機嫌そうな声で苦言を呈した。紀久美は悪びれもなく返答する。 「小さくないよ。インドアの金的くらいでしょ、あんなの」 「インドアの金的の、しかもそのまた10点でしょ……この緊張状態で撃ち抜ける自信ないって」 「わざと外すにはちょうどいいよ」 「一回射ち抜くよ」 「いやいや、冗談だよ」  謝りながらも紀久美の顔は笑っていた。  美紗は、全くもう、とため息をつきながら、紀久美と一緒に畳を体育館のステージの脇に運びこむ。  運びこんでから美紗は観客を見てみる。  こんな大勢の前で撃つのは初めてだった。  喉が渇いてしょうがなかった。ペットボトルのお茶を1杯飲む。そして一息ついた。
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