風船はピンポン玉サイズ

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「よう、元気ですか」  そんな時に声をかけてきたのは、もう1人の生徒会副会長、三国省吾(みくに しょうご)だった。 「なんだ、三国くんか」 「なんだ、その残念そうな態度は」 「残念なのよ」 「失礼だな。人が心配して見に来たのに。心配して損したな」 「三国くんに心配してもらう必要なんかない」 「何言ってるの美紗ちゃん。ビクビクしているくせに」 「本当に射ち抜くからね」 「……本当に冗談だから、矢を構えるのはやめてね」 「……本当に心配して損した」  そんなやり取りに省吾はため息をつく。  省吾は紀久美と同じ生徒会副会長だ。美紗や紀久美とは仲が良く、基本的にはいつも一緒にいる。  今日は生徒会主催の新入生歓迎会のため、役員として舞台裏にいるのだった。  ちなみに紀久美はそれにアーチェリー同好会のお手伝いさんとしての仕事もある。もっぱら畳運びと風船つけ(極小1個)だが。 「あ、ちなみに風船付けは省ちゃんにも手伝ってもらったんだよ」 「さりげなく怒りの矛先を俺に向けさせるなって」  しっかりと省吾も手伝わされていたが。
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