風船はピンポン玉サイズ

4/14
前へ
/437ページ
次へ
「だって連帯責任だよ。普通のじゃ面白くないって言ったの省ちゃんじゃん」 「ピンポン玉ぐらいにしようって言ったのは三島だろう? 美紗ちゃんならあれくらい楽勝だよ、とか言いながら楽しそうに風船つけていたのはどこの……って、わかったわかった、俺らが悪かったからまずはその矢とスタビライザーをしまえ」  いつの間にかスタビライザーまで取り出していた美紗は黙ってそれを弓に着ける。 「まあ、とにかくがんばれよ」 「……うん」  省吾の激励に美紗は軽く相槌を打つ。 「元気ないのが一番駄目だ」 「……そうよね」  そんな美紗に紀久美も激励を始めた。 「引き戻しはダメだよ」 「……うん」 「格好よく見せろよ」 「……うん」 「お願いだから生徒だけは撃つなよ」 「……」 「外すにしても畳の外だけはやめてよ」 「……」  次第に美紗の相槌が聞こえなくなってくる。彼女は肩を震わせて俯いていた。 「……言いすぎたかな」  その様子を見てさすがに紀久美も反省したが、省吾が火に油だった。 「大トリなんだから、お前次第でこの会が白けるか否かが決まるからな。責任は重大なわけで――」
/437ページ

最初のコメントを投稿しよう!

320人が本棚に入れています
本棚に追加