風船はピンポン玉サイズ

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「面白いことになってきたね」  羽交い締めをしていない別の先輩の書記役員が呟く。  その呟きを聞き逃さなかった省吾は異変に気が付いた。会場が異様なざわめきに包まれていたのだ。  ふと備え付けのマイクを見ると、作動中のランプが点灯していた。  美紗が爆発する前はともかく、その後の怒鳴り声はマイクを通して会場中に伝わっていたのだ。 「ちょっと原さん、マイク入ってますよマイク!」 「わかってるさ」  慌てて省吾がマイクのスイッチを止める。  隣の原と呼ばれた書記役員は不気味な笑いを浮かべていた。 「わかっていたなら止めてくださいよ!」 「だって、面白そうだったんだもん」 「……だってじゃないですよ」
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