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蘇る。
そうだ、
進化し続ける世が生み出した、従順な機械だ。
奇怪少女
その後。
授業も受けず、鞄も置き去りに、自宅へと帰した。
XP-MRS003glの着用している制服は、当校の指定では無く、休み時間になればあまりに目立ってしまうから。
更に、彼女曰く開発中の所為なのか、言動を始め全てがぎこちない。
そんなモノを堂々と連れ回せる筈は無かった。
「吉澤雫様、XP-MRS003glは吉澤雫様に対シ、何を致しマしょウか?」
張り付けられた変わる事の無い表情。
ずっと微笑んだままだ。
ベッドに腰掛けた雫は、入室時から、依然立ち尽くしているXP-MRS003glに目線を合わせた。
特にして欲しい事など無い。
そもそも恋人設定として作られたロボットが何を致しましょうか?なんておかしな話だ。
取敢えず、デスクのチェアを引き寄せ自分の前に配置し着座を促し、
名前に“様”なんて自分には大それていると、外す事を命じた。
そして、最後に「XP-MRS003gl以外に名前は無いのか?」
と、一通り気になった点を列挙してみる。
するとXP-MRS003glは部屋に小さな機械音を響かせた。
それは雫の言葉を受理した証拠であったのかXP-MRS003glはチェアに腰を下ろす。
そして、彼女は鈴音のような声で“雫”と呼び、
XP-MRS003glと言うのは機体名だと答えた。
名前の変更・決定権は主にあるのだと教えてくれた。
それに聞こえるか否かの声で理解を示し、とても呼び易いとは言えないXP-MRS003glの呼び名を考え始めた時、
宙を舞っていた桜の花弁を思い出し、
彼女の名を「さくら」と改名した。
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