半径1m、空虚

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「ゴ注文戴き、有リ難うご座いマシタ。 貴方の輝かしい恋愛ヲ保証する、未来型少女。 実験体サンプルナンバー “XP-MRS003gl”。」 季節の変わり目に変わった奴が現れると聞いた事があった。 しかし昨今、季節の変わり目でなくても変わった奴は数え切れぬ程いる。 一見普通に見えるが、奇妙な言動を放つこの少女もきっと、どこか少しおかしい可哀想な子なのだ。 吉澤は相手にせず、再び校庭を見つめた。 「吉澤雫様。 XP-MRS003glは、今日かラ吉澤雫様と恋人トして生活し、何れ家庭ヲ作りまス。 しカし、XP-MRS003glは、発展途上のサンプルナので、いツ不備が発生すルか判りませン。 ご理解ノ程…宜しクお願いシます。」 ああ。 自分がおかしくなってしまったのか。 ふと思い出したのは、先日テレビで見た特報だったか。 CMだったか。 雑踏で聞こえた会話だったか。 この状況を把握するには時間を要さなかった。 自嘲を浮かべ、もう一度XP-MRS003glと名乗る少女に向き直る。 「よく出来た世界だな。」 本当に 出来すぎてツマラナイ世界だ。 ここは。 二人の間を淡い桃色の花弁が楽しげに舞った。
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