356人が本棚に入れています
本棚に追加
すごく不服そうな顔をしながらも彼女は僕を手招きして階段へ案内してくれた。
そして二階へあがるとまた携帯画面を見せた。
『、、、背中のキズ、、、まだ残ってる?怒ってるよね、、、、。』
僕はビックリした。
たしかに僕の背中には右肩から左腰にかけてのキズがある。でもあまり人には見せないようにしてたし、ましてや彼女は初対面だ。
「えっと、、、瑠璃ちゃんだっけ?なんでキズの事知ってるの?」
僕の言葉を聞くと凄まじい早さで携帯に文字を打ち込んだ。
『もしかして覚えてないの?私の事も?』
「申し訳ないけどそうみたい。」
僕がそう言うとまた少し考えて画面を見せた。
『、、、私は喋れないの。あなたはいつまでここにいるの?』
「一応、作家を目指してて、自分の本を出せるまでかな?」
ほとんど会話と同じ速度でまた携帯を見せた。
『、、、物語まだ書いてたんだ。じゃあ、本を出せたら出て行くって約束して、、、?』
「え?、、、あ、、、うん。わかった。」
なんでそんなことを言うのかわからなかったのだけど、僕も長く居るつもりはなかったので返事した。
『、、、それじゃ、ここがあなたの部屋。それから私は瑠璃って呼び捨てでいいから。』
部屋は割と広くて綺麗なところだった。
『、、、トイレは共同でお風呂も同じ。ご飯はカフェで作ってあげる。』
「瑠璃が作ってくれるの?」
瑠璃は少し朱くなってうなづいた。携帯で『あまり美味しくないけど。』と付け足した。
その直後、誰かが階段を上がってきた。
「今帰りました!!、、、誰です!?そのかっこいい人は!!もしかして瑠璃の彼、、、、、」
大声で何かを言い掛けたのを瑠璃がすかさず止めて画面を見せた。
『このバカは影薗日向。うちの住人。』
最初のコメントを投稿しよう!