荒野と少年

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 時は紙吹雪のように散り行きて風の音となる。少年は相変わらず、荒野へと向かう。壊れそうなベンチに腰をかけ、遠くを見渡した。そのまま深い眠りに墜ちた。――突然、雨が降りだす。静かに降る雨は少年を包み込むように、穏やかである。少年は目を覚まし、空を見上げた。天から降り注ぐ時雨をみていた。それから、どれくらいの時間が流れていたことだろうか。気がつくと太陽が西の方へと沈んでいた。頭上には暗闇だけが姿を見せ、空雲雀の鳴く声が奇妙に思えてならない。そろそろ帰ろうと身体を起こしたが、雨で濡れた服が身体にまとわりついて、起き上がることができなかった。そのまま横たわり静かに目を閉じた。
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