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「こんな所に図書館なんてあったかな?」
佐原由美(サワラ ユミ)は学校へ行く途中に、通り気が無い道の真ん中で、古びた建物を見上げて呟いた。
しかし、もう使われていないらしく門が閉まっている。
建物の看板には図書館と消えそうな字で書いている。
由美は消えかかっている看板を一生懸命見上げ消えている部分の文字を見てみたが、全く見えなかった。
由美はようやくあきらめ、ふぅっとため息をつく。
しかし、今までここにこんな建物があっただろうか?
いつも登校している道もなれたつもりだが、まだなれていない事を表している。
由美は建物に近づき、中をのぞいてみた。
鎖の付いているガッチリとした門が、由美を見上げている。
しかし、この位の高さなら由美でも登れそうだ。
そう思うと由美は自分の手さげに付いているキーホルダーをチラリと見た。
キーホルダーは人形のクマが本物の小さな丸い時計を持っている。
時刻は午前7時32分。
早めに出てきて良かったと由美は心の中で呟いた。
この図書館には遊ぶ場所があるだろうか?
もし、あったら中に入って友達と遊ぶ事が出来そうだ。
由美はそう思うとニヤリと笑い、背負っているランドセルと手さげを門の前に置いた。
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