望み

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  その時間が、1分…5分…10分…15分…もしかしたら1時間だったかも知れない。 (もういい…もう駄目だよ…)   そう繰り返し呟いていた"私"が、自分でも思いがけない行動をとっていた。   私は、時間の平行感覚がまるでわからなかったが、"膝くらいまである水の中"から這い上がり、無表情でお腹を守り、壁際に手をつきながら、また歩き出していた。   どうして?…私、どうして諦めないの?   気がつくと私は、自分の身体を真上から"観て"いた。私の身体が、諦める事を許さなかったんだ。   それからどれくらい歩いたのだろう…?目の前には、民家のようなとても小さく傾いた"お家"があった。   『……診療』と、青い文字で書かれてる。私には読めない。その白い看板の半分はもうすでになかった。 私は、今ある全ての力でそのドアを叩いた。   もしかしたら、この中に人はいないかも知れない。 それでも私は、強く・強くドアを叩いた。   「誰か…誰かいますか!?お願いです!助けて下さい!!助けて下さい!!」   繰り返し、繰り返し大声で怒鳴るような私の声も、無数に降る激しい雨で私の言葉はかき消されていたでしょう。 「お願いします!!!助け…っ」   急にお腹の痛みが増した。脂汗が止まらない。  
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