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明るくなった部屋には、沢山の機械類が部屋一面に敷き詰めている。
その中央にある透明なアクリル製の手術台のようなものに
【首から下が無い、スキンヘッドの女の頭部だけ】が、
仰向けで、首・こめかみ・後頭部などに様々な管をつなぎながら、横には様々な手術道具と一緒に置いてあった。
「それじゃ始めるよ」
「…ええ、お願い」
女は男を横目で見る。男は、女の頭部を手馴れた手つきで触り《手術》の準備を行う。
「それじゃ、このまま君の脳の"スイッチ"を押したら君はまた眠ってしまうけれど…いいかな?」
「ええ、お願い」
「それと、さっき君は自分に名前が無いと言ったけれど、今は『みんな』に呼ばれてる名前があるじゃないか」
「…その名前は嫌いなの…あまり口に出さないで」
女は少し怒った口調で男に言った。
「わかったよ。それじゃ…"スイッチ"押すよ」
「ええ、お願い。よろしくね、天才さん」
「…天才かぁ…ありがとう。それじゃ、おやすみ」
少し溜め息をして、男は呟きながら、"記憶の脳"と呼ばれる脳の【海馬】に軽い電気を流した。
「…おやすみ」
………………………プッ゛
と小さな音が鳴り、女は深い眠りにはいった。
「おやすみ… 《さんごう》」
男は、そう言うと【さんごう】の手術を始めた。
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