~ジャッジ狩り~

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  「そこを動くな。動けば反抗と見なす」   魔石を利用した角灯が放つ強い光と、アルケイディア帝国兵の威圧的な言葉を浴びせかけられ、高い城壁を背にしたシーク族の青年の顔には、困惑と怯えが入り混じった表情が浮かんだ。   「貴様ら、こんな時刻に何をしている?」   燈火の代わりに長銃を手にした兵士が、横柄な口調で詰め寄りながら銃口をシークに向けた。その筒先が光よりも眩しいとでも言うように、シークは哀れな身振りで顔面に手をかざす。   「だ、旦那、よしてくださいよ! あ……怪しいもんじゃねえんです。ちょっと商売の荷を捌こうとしてただけで――」   「ナルビナでは夜間の外出は禁じられている。知らんわけではあるまいな?」   「そ、そりゃもちろん、その……」   シークはしどろもどろで、種族特有の樽のような身体をよじる。投げかけられた光のせいで兵士たちの姿は良く見えなかったが、足音や鎧の鳴る音から判断して、三人以上がそこにいることは確実だった。小刻みに震える浅葱色の皮膚から、じわりと脂汗が滲み出して燈火を反射する。   旧ダルマスカ王国領・ナルビナ城塞――。  
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