~ジャッジ狩り~

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  「旦那と、フュージア兄さんがそう言うなら、オイラは別に、その……」   ヒュムの剣士――フュージアの、底なしに暗い瞳から懸命に目を逸らして、シークは三人の骸をずた袋に詰め込む。鎧まで含めたそれは尋常な重さではなかったが、彼はひとつ息を吸い込んだだけで易々と袋を背負い上げた。力自慢のシーク族でも、これほどの怪力を備える者はそうはいない。   “すぐにナルビナを発トう。ひトまずラバナスタに向かうよ”   モーグリの号令のもと、六つの影法師が街路に踊った。   飛び散った血の色を宿したような、赤く濁った月の光の下、六種族の違いすぎる輪郭が重なり合って駆けるさまは、おぞましい異形どもの行進、百鬼夜行を思わせる。   あるいは、尽きぬ衝動に身をよじらせ、次の狩り場を目指すただ一匹の獣を――。  
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