~産声の日~

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  ここまででもはや、生存者は人口の0.1パーセントにも満たなかった。だが、衰えることのない魔法の力はさらに都を蹂躙する。   地中の毒素が凄まじい濃度にまで凝縮され、数十年は中和されぬ猛毒の泉となって広範囲に噴出した。魔力で変異を遂げた、この悪環境でも死滅しない病原体が瞬く間に繁殖した。視神経を冒す有害な光線が乱舞し、肉体を石のように硬直させる呪文が波となって疾り抜ける。闇色の焔が包み込んだものすべてを泥炭のように変質させ、球体の妖光がその内部の物質を次元の狭間へと永久に送り込む。断末魔の叫びさえ掻き消す無音の空間が広がり、地の底より誘導された粘性の高い油が飛び散って滅びの炎の勢いを強め――。   そして広範囲に及ぶ未曾有の重力異常が、山岳地帯に築かれた都市の強固な地盤をずたずたに引き裂いた。都全域が沈下し、辛うじて体裁を保っていた宮殿も、毒に濁って沸き立つ湖に傾ぎながら半ば没している。王朝終焉の象徴のように。   天にはもう、星は輝いていない。荒れ狂う魔法が終息し始めた頃には、夜空はぶ厚い漆黒の雲に覆われていた。  
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