ジニー

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  「…あ、あの、あのマスターは…リト様はどこにいるのですか!? 私が助かったというならば、リト様も助かったのではないのですかっ!?…うあっ」 初めて制御プログラムという重りを外された体は軽すぎて上手く動かせず、バランスを崩した体はベッドから落ちてしまいました。 ずるずると体を引きずり、ベッドにしがみついてふらつきながら立ち上がる。 お人形屋さんの表情は、仮面のせいで全くわかりませんでした。 「彼は隣の部屋にいますよ。見に行きましょうか」 お人形屋さんは私の首の後に何やらコードを挿しました。 その瞬間全身に電流が走り、私の体は真っ直ぐになりました。 足がしっかり地を踏む。 彼はドアを開けました。 初めて見た、木材のドアを。 「さあ、どうぞ」 ドアを通ると、私が寝ていた部屋より機械が沢山並んだ部屋がそこにありました。 白いベッドに横たわる少年を見て、私は全身の力が緩み、目から水滴を零しました。 えっ…。 「…私が流しているのは、涙なのですか…?」 「正確にはオイルですが、君にとっての涙ですよ」 「…そうですか。…リト様、お聞きになられましたか?私は泣くことが出来るようになりました。 貴方が出来なかった、アンドロイドの感情表現を、私は出来るようになりましたよ?」 私は膝をつき、リト様の手を握る。 小さな温かい手。 いつも私を改良して下さった手が、私はとても大好きでした。 その手を握ることが出来るこの日を、いったい何度夢見たことか…。 私は泣きながら微笑んでおりました。
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