二日目(12月16日 金曜日)

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二日目。 勇助と咲姫の十番勝負二日目の朝。 「う…ぐぅ…」 カーテンから溢れる眩しい朝日を受け、天川 勇助は目覚めた。 「はぁ…朝…か…」 気だるそうな顔をしながらベッドから上半身を起こすが、寝ぼけているのかなかなかベッドから離れられない。 「…………………」 目は半開きで頭は寝癖。寝起き真っ最中の勇助だがいつまでも寝ぼけていられない。 目を覚まさせようと一階におり、洗面所へと向かう。 「あ、兄ちゃん起きた?」 洗面所についた勇助を迎えたのはこれまた起きたばっかりだと言わんばかりの妹、乙女。 「起きなきゃ遅刻だからな。嫌でも起きるさ。」 そのまま勇助は乙女の隣で顔を洗いはじめる。乙女も特に気にせず歯を磨いている。 「でさ、兄ちゃん。結局昨日会ってた女性って誰?」 「その話題はもういいだろ…お前には関係ない。」 「うぇ…またそうやって隠すし…私だって未来のお姉ちゃんに挨拶しとかないといけないのに…」 「…ツッコミたいことは沢山あるがとりあえずそんな心配はないから安心しろ。」 朝からぶっ飛んだことを言う乙女に普段なら全力で対処する勇助だが寝起きでは騒ぐ気にもならない。 この後も一通りふざけた会話が続いたが全て右から左に流した勇助だった。 「ほら、アホなこと言ってないでさっさと飯食うぞ。」 「うぅ…朝食ではぐらかそうとしてもそうはいかないからね。」 「はぁ…疲れるな…」 ため息をつきながら居間へ移動する勇助。その後ろにかわいい殺気を放ちながらついてくる乙女。 そんな奇妙な光景を見た母親はどんなリアクションをすればいいのか… 「何やってんの…アンタたち…」 「さぁ…?」 「だってお母さん!兄ちゃんが密会してた女性のこと教えてくれないんだもん!」 「勇助。一つ残らず話しなさい。」 「……………朝から本気で疲れるな…」 頭を抱えながら本気で悩む勇助。この誤解(?)を解くにはどうしたらいいか模索するがそう簡単にこの答えが見つかる訳がない。 結局、朝食の間は家族のきつい視線を浴び続けることになった。
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