二日目(12月16日 金曜日)

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「はぁ…ごちそうさま…」 家族からの視線を耐えきった勇助はそそくさと二階に戻り、学校に行く準備を行う。 「まったく…くだらないことで朝から疲れたな…」 愚痴をこぼしながら鞄に教科書をつめて制服に着替える。 今日は生まれて初めての罰ゲームにしてお嬢様のパシり。こんな日が楽しみなわけなくただ憂鬱になっていくだけだ。 「だけど、休むわけにはいかないしな…って、こんなことで休む気にもならないけどな…」 皮肉な笑みを浮かべながら部屋から出ていく勇助。そのまま階段をおりて、玄関から外出。 学校に向かい歩きだす。別に急ぐことはないが遅刻するほど遅くもしていられない。 「おう。勇助。」 ふと、家を出てすぐに声をかけられる。 それは勇助がよく知った声。悪友にして幼なじみの高嶋 歩だ。 「なんだ。お前か。」 「なんだとは失礼な。せっかくお前を守ってやろうと思ってたのに…」 「…………守る?」 歩の不可解な発言に疑問を覚える勇助。守るも何も襲われるようなことは何一つしていない。 「お前は知らないだろうけどな…もうクラスの男連中はお前と四ノ宮さんとの『勝負』のことを知っているんだよ。」 「………は?」 あり得ない。なぜなら咲姫と勝負をしたのは昨日の放課後であり、今日はまだ学校にすら行っていない。 なぜこんな早くに広まったのか… 「なんで…」 遅刻するのも気にせずに悩む勇助。下手をすればクラスの全男子に殺されかねない情報。一体どこからもれたのか… 「なんでかって?簡単だ!俺が友達とメールしてたらポロッと口がすべっちまった。」 「………ほぉ。」 歩からその友達へ。その友達からさらに別の友達へ。さらにさらにその友達からまた別の友達へとねずみ算のように流れていく情報。 歩のせいで勇助の命運は尽きたようなものだった。 「野郎…メールなのに口がすべるか…あからさまな嘘をつく奴だなぁ…」 「あ、やっぱバレたぁ?」 舌を出し反省の欠片もない笑顔で誤魔化そうとする歩に怒り浸透の勇助。 通学路の途中、ずっと勇助の殺気を浴び続ける歩だった。
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