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「はぁ…つまんね。」
とある高校の二年三組。六時間目の数学に皆が真面目に授業を受ける中、窓際最後尾に一人だけまったく勉強する気がなく窓の外をポケ~っと眺める少年が一人。
ツンツンした黒髪に黒いブレザーの制服に身を包んだ高校生・天川 勇助(あまかわ ゆうすけ)だ。
「早く終わんねぇかな…」
頬杖をつきながらため息を吐いてつまらない授業をグダクダと受ける。
どこにでもいそうな一般的な高校生だ。
事実、勇助には特に頭が良いとか特技があるとかそういうわけではない。
あえて言うならば極度の負けず嫌いで勝負事になれば信じられない体力を発揮するということくらいだ。
そんな彼に高校生活というのは平凡な毎日で、部活に入ってるわけでもなく、バイトをしているわけでもない。
もちろん、彼女なんてのは一度もいない。
女友達くらいならいるが恋人と呼べるようなのは存在しない。
(って…なんで俺の女性事情を赤裸々に語ってるんだ?)
ふとここでモノローグのおかしさに気付く勇助。彼女やら恋人やら言われて何も言い返せないのは事実なのだが…
(いや…別に…彼女とか欲しくないわけじゃないけど…)
そこで勇助はチラッとある女子の方を見る。
その先には学園のアイドルと呼ばれ、四ノ宮財閥の一人娘・四ノ宮 咲姫(しのみや さき)。
男子にはもちろん女子にも人気があるお嬢様だ。
一部の人間からは「お姉様」とか呼ばれてるとか呼ばれてないとか…
(ま、俺には関係ないか…)
高嶺の花というか何と言うか…とりあえず勇助にとって四ノ宮 咲姫は手の届かないところにいるのだということは分かっていた。
(まぁ…ね…そりゃ、あんな娘が彼女だったら嬉しいだろうけど…)
興味が無いわけではないが好きという訳でもない。
そんなことを考えながら六時間目の授業も終わりに近づいていく…
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