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「ようやく解放されたんだ勇助。」
「あぁ…ようやくな…」
解放されたとはいえ、散々振り回されたようでその顔にはまだ朝だというのに疲れが見える。
「罰ゲームの権利を譲るって言ったら納得してくれたよ…」
「へぇ…じゃあ、これからの勝負はお前と四ノ宮さんだけの問題じゃなくなるんだな。」
「…………へ?」
「放課後にはお前の後ろにギャラリーがいるようになるのか…」
「……………なっ!?」
考えてみればそうだ。もし、勇助が勝てばこのクラスの誰かが罰ゲームの権利、つまり咲姫とのデートだの何だのの権利を手に入れれるのだから。
これはクラス総出で応援に来るだろう。
「ま、まさか…な…」
苦笑いしながら目が泳ぐ勇助。さっき言った発言が既に面倒なことになってたなど考えも及ばなかった。
それから授業を受け、何事もなく学校生活を過ごし…
ついに、放課後になった。
「ねぇ、貴方の後ろにいる人たちは何?応援?」
「そ、そんなところだ…」
放課後になり勇助と咲姫の勝負、二回戦。
今回も放課後の教室で机を向かい合わせて座る二人。
ここまでは昨日と一緒だが今日は決定的に違うことがある。
それは…
「頑張れよ!天川!」
「絶対勝てよ!」
「応援してるからな!」
勇助の後ろに大量のギャラリーがいるということ。そのギャラリーの中には歩や興味半分で残った空音もいる。
「負けちまえ。勇助。」
「ま、勝てるとは思ってないけど頑張りなさい。」
「そこ!有象無象に混ざって俺を罵倒するな!!」
遊び半分、興味半分。真面目にやってる咲姫や勇助とは違い勝負を見せ物のように楽しむ歩と空音。
勇助にとっては後ろにいる野次馬たちよりもタチが悪い。
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