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「まぁ、あれは置いといて…今日は何で勝負するんだ?」
歩と空音にかまっているのもアホらしくなってきた勇助は改めて咲姫に向き直る。
「そうね…今日はこんなのでどう?」
そう言って咲姫が取り出したのは白黒のボードと白黒の駒。
「…えーっと、これは…チェスか?」
「えぇ、そうよ。」
咲姫が提案してきた今日の勝負。それはボードゲームの一種、チェスだった。
「ち、チェス…か…」
が、多少変わったところはあっても勇助は一般的な男子高校生。チェスなど一風変わったゲームはやったことがない。
「やったことないの?」
「あ、あぁ…」
「じゃあ、私がルール教えてあげるから。それから勝負しましょ?」
「ん…?ん~、まぁ…それなら…」
と、咲姫の提案を受け入れようとしたその時…!
「待て!天川!それじゃ四ノ宮さんの思う壺だぞ!」
「そうだ!ただでさえ頭良くない勇助なのに初めてやるゲームでさらに相手が四ノ宮さんなのは分が悪すぎるぞ!!」
「今日は別のゲームにした方が…」
言いたい放題な後ろの野次馬。勇助もこれには怒り浸透してるがここはこらえた。
が…!?
「あら?チェス駄目なの?………そう、逃げるんだ…自分が出来ない種目だったら逃げちゃうんだ…」
「な゙っ゙…!?」
とどめに咲姫の一言。これには勇助も我慢の限界、堪忍袋の緒が切れてしまい…
「上ー等だ!!いいじゃねぇか!!やってやろうじゃねぇかよチェス!!」
椅子に立ち、机を踏みつけながら咲姫に人差し指を突きつける勇助。
が、本人のテンションとは別にギャラリーの期待とテンションは一気に下がり…
「あ~あ…駄目だこりゃ…」
「帰ろ帰ろ。また今度だなぁ…」
「あ~あ!四ノ宮さんとデートしたかったなぁ!!」
ぞろぞろと後ろのギャラリーもとい野次馬たちが帰っていく。勇助に勝ち目はないと悟ったのだ。
「デート?何の話?」
「あぁ…俺が勝ったらあいつらの内の誰かに罰ゲームの権利譲るつもりだったからさ。罰ゲームでデートとか考えてたんだろ。」
「ふ~ん。」
勇助と咲姫が話してるうちに野次馬たちは皆帰っていき教室に残されたのは勇助、咲姫、歩、空音の四人になってしまった。
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