二日目(12月16日 金曜日)

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が、どれだけ頑張ろうとも時間は無情にも流れていき… 「5時だ。」 「5時ね。」 遂に約束の5時になってしまった… 「だぁぁあ!!野次馬二人め!!言われないでも分かってるっつの!!」 「怒る前にちゃんと憶えてほしいわね…おかげで今日の勝負は私の不戦勝。」 「あ゙っ……!!」 分かってはいた。4時半の時にはもうこうなることは分かっていた。 なぜなら放課後から始めて4時半までにまったく憶えられなかった人間が追い詰められたからといって三十分でどうにかなるわけはない。 …人生とはえてしてそういうものだ。 「じゃあ肝心の罰ゲームだけど…どうしようかしらね…」 「く……くそ…」 ガクッと机にへたりこみ落ち込む勇助。負けて罰ゲームをくらうのが悔しいというのもあるがチェスのルールすら憶えられない自分が恥ずかしいのだ。 「へっ。所詮勇助ごときにチェスなんて高尚なゲームは無理なんだよ。」 「…………はい。」 「あの時にちょっと挑発されたくらいでできもしないチェスで勝負するからこうなるのよ。」 「……………………はい。」 負けて素直になる勇助と言いたい放題言う歩と空音。 空音の方は勇助を説教しているだけなのだが歩の方は完全に馬鹿にしている。 「お前なんか四ノ宮さんの足元にも及ばないんだよ。バーカバーカ。」 「……………………………………はい。」 勇助が何も言い返さないのをいいことにおもいっきり貶しまくる歩。 「どうせお前は四ノ宮さんとデートできるかもしれない罰ゲームの権利も他の奴にくれてやるようなオタンコナスなんだよ!」 「……………………………………………………………………はい。」 段々楽しくなっていったのか悪口がエスカレートしていく歩。が、この一言が咲姫にヒントを与えてしまい… 「あ、デート。それいいわね。今日の罰ゲームは私と明日一日デートということにするわ。」 「……………………………………………………………はい。…………え?」 「え?」 咲姫の発言にへたりこんでいた勇助が驚きの声を上げる。 それは歩も一緒でまさか自分の発言が勇助と咲姫の仲を深めるような罰ゲームに発展するなど思いもよらなかったのだ。
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