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「い、今何とおっしゃいましたが?四ノ宮さん?」
未だに信じられない歩は再び咲姫に聞き返す。
が、何度聞こうともその耳に飛び込んでくる言葉は変わることなく…
「だから、デート。明日は土曜日で学校休みだから暇でしょ?」
「まぁ…暇ったら暇だけどな…」
信じられないという点では勇助も歩と一緒だ。咲姫の言ったことの真偽が分からずただ混乱している。
ちなみに、空音は信じられないを通りこして呆然とし、声もでないでいる。
「…もしかして、迷惑?」
「……え?い、いや…」
あまりいい反応を示さない勇助に不安になる咲姫が上目遣いにウルウルした目という男泣かせなやり方で質問してくる。
これには勇助も邪険な扱いはできない。というより、した瞬間に後ろでハンカチを噛みながら羨む歩にドロップキックでもされかねない。
「迷惑とかじゃなくてさ…どっちかって言うと嬉しいんだけど…」
「じゃあ、決定ね。詳しい時間や場所は後で連絡したいからメールアドレス教えてくれる?」
「あ…あぁ…」
勇助が迷惑じゃないと知るやいなやすぐに話を進める咲姫。
さっきまでのウルウル視線はなんだったのか…
そして勇助は小さな紙に自分の携帯電話のメールアドレスを書き咲姫に渡す。
「ありがとう。じゃ、夜にはメール送るから。じゃあね。」
「あ、あぁ…」
そう言って咲姫は幼なじみ三人組にとんでもない衝撃を与えて帰宅してしまった。
「で、デートって…勇助。したことあるの?」
「あるわけないだろ…こっちは未だに状況が飲み込めないんだから…」
「だぁぁぁぁぁ!!何で勇助なんだぁぁぁぁぁ!!?」
問う空音に答える勇助、嘆く歩の三人はその後一悶着あったものの一応は帰宅することにした。
「勇助めぇぇぇ…」
「そんな目で見るな…俺だって困ってるんだ…」
帰る途中、歩の怨みの視線を勇助がずっと浴び続けることになったのは言う間でもない。
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