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「ふぅん…そう…」
「「………!?」」
突然、勇助の後ろから聞きなれない声が聞こえる。
何事かと思い、すぐに後ろを振り向くとそこには…
「じゃあ…さ、私と勝負しない?」
腰にかかるくらい長いストレート、右の方のモミアゲだけをリボンで結んだ紺色の髪。モデルでもできそうなスタイルにかわいいよりは美しい系の顔立ち。黒のブレザー、チェックのスカート、ニーソックスに身を包んだ学園のアイドルにして四ノ宮財閥の一人娘…
「し、四ノ宮 咲姫!!?」
「四ノ宮さん!?」
男二人は絶叫する。ただ同じクラスだというだけで他に接点などあるはずなく関わることもないだろうと思っていた高嶺の花が今、目の前にいる。
まったくの不意討ちに絶叫するしかない二人だった。
「あら…名前を知っててくれたのは嬉しいけどいきなり呼び捨ては感心しないわ。」
「ゔっ……」
「お、お、俺!俺はさん付けで呼びました!」
いきなりの指摘にたじろぐ勇助とは違い、無邪気に喜ぶ歩。だが、咲姫はそんな歩など気にしていない。
ただ…勇助だけを見据えていた。
「で…受けてくれるの?私との勝負。」
「し…勝負?」
勇助にはさっぱり状況が理解できてない。咲姫の突然の訪問にただ愕然とし、何も考えられない。
その証拠に隣で五月蝿く騒いでいる歩の声がさっぱり聞こえてこないのだ。
「な、何なんだよ…し…勝負って…」
「貴方言ったでしょう?「私と勝負しても勝てる」って。だからそれが本当か確かめましょうって事よ。」
「いや…あれはその…言葉のあやというか…」
まさかさっきの何気無い世間話を本気にするなど予想してなかった勇助。どうにか誤解を晴らそうとしたが…
「あら?じゃあ、さっき言ってたのは嘘?私には勝てない?負けを認めちゃうの?」
「「な゙っ……!?」」
まさかの挑発。名家のお嬢様らしからぬ発言に驚く二人。
心なしかいつもの美しい顔立ちが若干見下してるような感じがする…
そしてこの咲姫の一言が…勇助の負けず嫌い本能にスイッチを入れてしまった。
「いいじゃねぇか!!その勝負!受けてたつぜ!!」
机をバンと叩き咲姫の勝負を承諾。空元気、無計画、行き当たりばったりと不利極まりない勝負だがこうして勇助と咲姫の勝負が始まった。
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