一日目(12月15日 木曜日)

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「ふふ…そう、受けてくれるのね。」 「ああ、受けてやるさ。どんな勝負でも俺は負けねぇ!」 腰に手を当て、どうだ、と言った感じで仁王立ちする勇助。 隣であたふたしてる歩などさっぱり眼中にない。 「おい勇助!お前、四ノ宮さんに何てこと言ってんだ!?あ、謝れって…」 「何で謝るんだよ!?先に喧嘩売ってきたのはあっちだぜ!?売られた喧嘩は現金一括払いで買うのが常識だろ!?」 「なんだよ…その片寄った常識…」 勇助の物言いに呆れる歩。どこぞのヤンキーじゃないんだからお嬢様の言ったことくらい聞き流せないものか… とにもかくにも勇助は咲姫の勝負を受ける気満々だ。歩の説得空しくこれだけは変わらない。 「で?何で勝負するんだ?勉強と美術以外なら何でもいいぜ。」 「うわっ!何でもいいとか言いながらしっかりと自分の苦手分野は排除しやがった…」 成績はオール3。美術はえんとつスレスレ。それが勇助の通知表なのだ。 「そうね…一回きりの単純勝負も楽しくないし…少しゲームみたくしましょ?」 「………ゲーム?」 「そう。今日から十日間、一日一回の合計十回の勝負にするの。そして一回毎に勝った方は負けた方に罰ゲームを与える。…どう?面白そうでしょ?」 クスッと小悪魔な笑みを浮かべながら咲姫は勝負の説明をする。勇助も大方理解できたが一つ気になる点が… 「…確かに面白そうだが…罰ゲームって何だよ…床に穴が空いて池にボチャンとか…?」 「何かお前の罰ゲームにはバラエティー的フィルターが一枚かかってるな…」 「罰ゲームなんて口だけよ。簡単な話が好きなお願いができるだけだから。」 「あぁ…そういうことか。」 ようやく納得できた勇助。だが、ここに一人まったく納得していない人物が一人… 「ちょっと待て勇助!」 「うおっ!?」 突然、歩に引っ張られた勇助。いきなりの歩の行為に驚く暇なく胸ぐらを捕まれて… 「な、何だよ…」 「お前…今の状況がどんだけチャンスか分かってないだろ…?」 「………は?」 ふるふると体を小刻みに震わせながら言う歩。勇助にはその理由がさっぱり分からない。 が、きっとまともなことは言わないだろうと確信していた勇助だった。
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